
産廃許可の同時申請|収集運搬業と処分業を並べて進める段取り
「処理施設もできるし、自社で運べるようにもしたい。だったら両方の許可、まとめて取れないかな」。 新しい事業の立ち上げや、施設の稼働に合わせて、そんな相談が回ってくることがあります。 でも、いざ手引きを開くと、収集運搬と処分で別々の様式や添付書類が並んでいて、どこまで一緒に進めていいのか迷いますよね。
この記事では、収集運搬業と処分業の許可を同時に申請するときの段取りを、「まとめられる準備」と「分けて考える準備」に分けて整理します。
結論:収集運搬業と処分業は別々の許可なので、申請書・手数料・審査はそれぞれ必要です。ただ、登記や決算書、役員の書類、講習会の受講など会社側の準備はまとめて進められます。一方で処分業は、施設の確認や自治体との事前協議に時間がかかりやすいので、処分側の段取りを先に引いて、収集運搬をそこに合わせる(場合によっては先に出す)と落ち着いて進められます。
何が起きているか:同じ会社でも「許可は2つ」
まず押さえておきたいのは、産廃の許可は業の種類ごとに別の許可だということです。
- 収集運搬業許可:産廃を積んで、処分先まで運ぶための許可
- 処分業許可:中間処理(破砕・焼却など)や最終処分(埋立)を行うための許可
「同時申請」といっても、1枚の申請書で両方が取れるわけではありません。申請書は2通、手数料も許可ごと、許可証も別々に届きます。許可番号も有効期限も、それぞれ独立して管理することになります。
さらに見落としやすいのが申請先です。
- 積替え保管をしない収集運搬業 → 積み下ろしをする都道府県へ
- 処分業 → 処理施設がある場所で見て、政令市の区域内なら政令市、それ以外は都道府県へ
たとえば処理施設が政令市の中にあると、処分業は市へ、収集運搬業は県へ、と窓口そのものが分かれることがあります。ここは最初に確かめておきたいところです。詳しい見分け方は産廃許可は県と政令市どちらに申請?管轄の見分け方にまとめています。
まとめられる準備と、分けて考える準備

同時申請をラクにするコツは、準備を2つの箱に分けて考えることです。
まとめて進められる準備(会社側の書類)
次のものは、どちらの許可でも「会社として」求められるので、一度の段取りでそろえられます。
- 登記事項証明書・定款などの会社の基本書類
- 直近の決算書(経理的基礎の確認に使われるもの)
- 納税証明書
- 役員・政令で定める使用人・一定以上の株主などの書類(欠格要件の確認用)
ここで一つ注意があるのが、原本を何通用意するかです。同時に出す場合でも、申請ごとに原本が必要な窓口もあれば、「同時提出なら片方は写しでよい」と案内してくれる窓口もあります。窓口が県と市に分かれるなら、それぞれに原本が必要になることが多いと考えておくと安心です。取り寄せる前に、通数を確認しておきましょう。
発行日の要件(「発行から3か月以内」など)がある書類は、処分側の審査が長引くと期限が切れてしまうことがあります。提出日が見えてから取り寄せると、取り直しを防げます。
決算書の見られ方は産廃許可の経理的基礎、決算書のどこを見られる?、対象になる人の洗い出しは産廃許可の欠格要件を申請前にチェックが参考になります。
講習会は「どの課程か」を先に確認
許可の申請には、所定の講習会(日本産業廃棄物処理振興センター=JWセンターの講習会)の修了証が求められます。課程は収集運搬課程と処分課程に分かれています。
両方の許可を取る場合、処分課程の修了証で収集運搬の申請にも対応できる扱いになっていることが多いですが、受講する人(代表者・政令使用人など)や課程の組み合わせは、申請先の運用で確認が必要です。講習会は予約が埋まりやすいので、受講者と課程を決めて、真っ先に申し込むのがいちばん効く一手です。
分けて考える準備(処分業ならではのもの)
処分業には、収集運搬にはない準備が加わります。
- 処理施設に関する書類:施設の構造・処理能力がわかる図面や仕様、設置の状況
- 施設の設置許可:一定規模以上の処理施設は、業の許可とは別に「施設の設置許可」が先に必要になる
- 自治体との事前協議:条例や要綱で、申請前の事前協議や周辺への説明を求めている自治体がある
- 現地確認:申請後、施設を実際に確認されることがある
このあたりは自治体ごとの差が大きく、数か月単位で時間がかかることも珍しくありません。だからこそ、処分側の段取りがスケジュール全体を決めることになります。
具体例:同時に出そうとして起きやすいこと
証明書の期限が切れた 最初に会社の書類を一気にそろえたものの、処分側の事前協議が長引き、提出の頃には納税証明の発行日要件を過ぎていた。収集運搬側だけ先に出していれば、少なくとも片方は進んでいた、というパターンです。
事業計画が2つの申請で食い違った 収集運搬の事業計画では「運び先は自社施設」、処分の事業計画では「受け入れは他社の運搬分が中心」と、別々の担当者が書いた結果、話がかみ合わなくなった。同じ会社の申請なので、品目・量・流れがそろっているかは窓口からも見られやすいところです。
品目がずれていた 処分で受ける品目と、運ぶ品目がそろっておらず、許可が出たあとに「この品目は運べるけど処理できない(またはその逆)」とわかった。あとから品目を足すには変更許可が必要になるので、最初に一覧で突き合わせておくと安心です。
影響:段取りを並べておくと、何が楽になるか
同時申請の段取りを最初に並べておくと、
- 証明書の取り直しや、講習会の受け直しが減る
- 「収集運搬だけ先に出す」という判断を、早めに落ち着いてできる
- 2つの許可の事業計画がそろい、窓口とのやりとりがスムーズになる
といった形で、手戻りが少なくなります。
もう一つ、許可が出たあとの話も少しだけ。2つの許可は有効期限がそれぞれ別です。許可日がずれれば、更新の時期もずれます。台帳に2行で登録しておくと、更新を取りこぼしにくくなります。管理の仕方は産廃許可の更新を忘れないための期限管理とリマインド設計に整理しています。
明日やること
明日は、次の3つだけで十分です。
- 処分業と収集運搬業、それぞれの申請先(県か政令市か)を確認し、窓口が分かれるかを書き出す
- 処分業の申請先に、事前協議の有無と、施設の設置許可が要るかどうかを問い合わせる(ここで全体の長さが見えてきます)
- 講習会の受講者と課程を決めて、日程を押さえる
ここまでできれば、「どちらを先に出すか」「書類をいつ取り寄せるか」が自然と決まってきます。収集運搬だけの書類の流れは収集運搬の許可申請、必要書類を集める順番と段取りもあわせてどうぞ。
同時申請チェックリスト
- 収集運搬業と処分業の申請先(県か政令市か)をそれぞれ確認した
- 処分業の事前協議の有無と、施設の設置許可が必要かを確認した
- 講習会の受講者と課程(収集運搬課程・処分課程)を決め、予約した
- 会社の共通書類(登記・決算書・納税証明・役員の書類)の必要通数を窓口に確認した
- 発行日要件のある書類は、提出日から逆算して取り寄せる予定にした
- 収集運搬と処分で、品目・量・運び先の流れがそろっているか突き合わせた
- 2つの事業計画を同じ担当者(または同じ表)で見比べた
- 処分側が長引く場合に、収集運搬を先に出すかどうかを社内で話した
- 許可が出たら、2つの許可番号と有効期限を台帳に別々に登録する段取りにした
全部に◯がつかなくても大丈夫です。◯がつかなかった項目が、次に手をつける場所を教えてくれます。
最後に
2つの許可を同時に取るのは、書類の量も、関わる窓口も多くて、最初はずいぶん大きな仕事に見えると思います。
でも、ほどいてみると「会社の準備は一度でいい」「時間がかかるのは処分側」という、わりとシンプルな形をしています。先に長い道の長さを測っておけば、短い道はそこに合わせて歩けばいい。
全部を一度にそろえなくて大丈夫です。今日は、申請先を2つ書き出すところから始めてみましょう。

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