取引先から届いた書類を手に、許可証ではなく認定証だったことに気づいて確認を始める産廃の担当者

再生利用認定・広域認定・無害化認定の違い|産廃の3つの認定を整理

「では、御社の許可証の写しをいただけますか」

そう伝えたら、こう返ってきた——「うちは環境大臣の認定を受けているので、許可証はないんです」。

一瞬、手が止まりますよね。許可がない業者に出していいのか。契約書はどうするのか。マニフェストは交付するのか。社内の誰に聞いても、はっきりした答えが返ってこない。産廃の実務でいちばん心細いのは、こういう「教科書に載っていない場面」に当たったときだと思います。

先に言ってしまうと、この返答自体はまったくおかしくありません。廃棄物処理法には、許可の代わりになる「認定」の仕組みがいくつかあって、認定を受けた業者は業の許可を持たずに処理できます。制度としてきちんと用意されているものです。

ただ、種類が3つあって、名前が似ていて、しかも「優良認定」というまた別の制度まであるので、混ざります。今日はここを、現場で確認する順番といっしょに整理します。

結論:産廃の世界で「環境大臣の認定」と呼ばれるものは、主に次の3つです。

1. 再生利用認定——決められた種類の廃棄物を、決められた方法で再生利用する
2. 広域認定——メーカーや販売会社が、自社製品だった廃棄物を全国から集めて処理する
3. 無害化処理認定——石綿(アスベスト)や低濃度PCBのような、扱いの難しいものを無害化する

3つに共通するのは、認定を受けると産業廃棄物処理業の許可がいらなくなることです。だから認定業者には許可証がありません。

そして、現場でやることはひとつに集約できます。許可証の代わりに「認定証(認定書)の写し」をもらって、うちが出す廃棄物がその認定の範囲に入っているかを確かめる。ここさえ押さえれば、あとは通常の管理と同じ考え方で進められます。

1. なぜ「許可を持たない業者」が正しく存在するのか

産業廃棄物の処理を人に頼むときの原則は、許可を持っている業者に委託することです。収集運搬なら収集運搬業の許可、処分なら処分業の許可。これは動きません。

ただ、この原則をそのまま当てはめると具合の悪い場面があります。

たとえば、全国のお客さんに製品を売っているメーカーが、その製品を回収して自社でリサイクルしたいとします。原則どおりなら、都道府県・政令市ごとに収集運搬業の許可を取らなければいけません。全国となると、その数は膨大です。回収したいのに、手続きだけで現実的でなくなってしまう。

あるいは、特殊な設備でしか無害化できない廃棄物があるとします。全国に数か所しか処理できる施設がないのに、一般的な処理業の枠組みで運用しようとすると、これも回りません。

そこで、「国が中身を見て認めたなら、都道府県ごとの許可は求めない」という別ルートが用意されています。これが認定制度です。

大事なのは、認定が「許可より緩い抜け道」ではないということです。むしろ、環境大臣が個別に中身を審査して認めるので、対象や方法がかなり狭く限定されます。「認定を持っている=何でも処理できる」ではありません。ここが実務でいちばん間違えやすいところです。

排出事業者から廃棄物が出る先が、許可を持つ処理業者へ向かう道と、認定を受けた事業者へ向かう道の2つに分かれることを示した図
認定は「許可の代わり」になる仕組み。だから認定業者に許可証はなく、確認するのは認定証のほうになる

2. 3つの認定を、ひと目で見分ける

いちばん手っ取り早い見分け方は、「誰が、何のために」使う制度かで覚えることです。

再生利用認定広域認定無害化処理認定
ひとことで決められた廃棄物を、決められた方法で再生利用するメーカー等が、自社製品だったものを全国から回収して処理する扱いの難しいものを無害化する
主に使うのは再生利用を行う事業者製品の製造・加工・販売を行う事業者特殊な処理設備を持つ事業者
考え方の背景環境保全上支障のない再生利用は後押しする製品を作った側が最後まで責任を持つ(拡大生産者責任)高度な技術が要るものは国が直接確認する
対象告示で定められた廃棄物と再生利用の方法認定ごとに定められた製品の範囲石綿含有廃棄物等・低濃度PCB廃棄物
現場で出会う場面特定の再生ルートに乗せるとき事務機器・住宅設備・消火器などをメーカー回収に出すときアスベストや低濃度PCBの処理を頼むとき

もう少しだけ、それぞれを補足します。

再生利用認定——「この廃棄物を、この方法で」がセットで決まっている

再生利用認定は、廃棄物の種類と再生利用の方法がセットで決まっているのが特徴です。「再生利用ならなんでも認定される」わけではなく、あらかじめ告示で定められた組み合わせに当てはまるものだけが対象になります。

なので、確認するのは業者名ではなく「うちが出す廃棄物が、その認定の対象に入っているか」です。同じ会社でも、認定の対象になっている品目と、通常の許可で受けている品目が分かれていることがあります。

広域認定——「うちの製品だから、うちが引き取る」

現場でいちばん出会う可能性が高いのは、たぶんこれです。

事務機器、情報処理機器、住宅設備、消火器、タイヤ、二輪車、農業機械——このあたりを「メーカーが引き取ってくれる」という形で処理した経験があるなら、その裏で使われているのが広域認定であることが多いです。

ポイントは、「その製品を製造・販売した側」が主体になる制度だということ。ですから、対象はその認定を受けた事業者の製品に限られます。他社製品まで一緒に持って行ってもらえるとは限りません。「ついでにこれも」が通らない場面が出てくるのは、このためです。

無害化処理認定——石綿と低濃度PCB

無害化処理認定は、対象がはっきりしています。石綿含有廃棄物等(廃石綿等・石綿含有産業廃棄物)と、低濃度PCB廃棄物です。

どちらも、現場では扱いに神経を使うものだと思います。石綿の分け方は石綿含有廃棄物の分別と運搬|2つの区分の見分け方で、PCBの保管と期限はPCB廃棄物の保管基準と処分期限は?2027年3月までに確かめることで整理しています。処理を頼む先を探す段階で「無害化処理認定を受けた施設」という言葉に出会うはずです。

共通しているのは「狭くて深い」こと

3つとも、対象は狭く限定されています。裏を返すと、その範囲の中でなら、都道府県の許可なしで全国的に動ける。狭くて深い制度、と思っておくと感覚がつかみやすいです。

だから確認すべきことも決まってきます。相手の会社が信用できるかどうかより先に、うちの廃棄物がその「狭い範囲」に入っているかを見る。ここだけです。

3. 名前が似ていて混ざりやすい2つ

ここが、この記事でいちばんお伝えしたかったところかもしれません。「認定」という言葉が付くものは、ほかにもあります。

優良認定(優良産廃処理業者認定制度)とは別物

優良認定は、許可の代わりにはなりません。 許可を持っている業者のうち、遵法性や情報公開などの基準を満たしたものを認定する制度で、いちばん分かりやすい効果は許可の有効期間が5年から7年に延びることです。

つまり、優良認定を受けている業者は許可証を持っています。「認定だから許可証はない」という話とは、まったく別の制度です。詳しくは産廃の優良認定とは?要件とメリットを落ち着いて整理にまとめています。

見分け方はかんたんで、認定したのが誰かを見ます。大臣認定(再生利用・広域・無害化)は環境大臣、優良認定は許可を出している都道府県知事・政令市長です。

「認定」と「指定」も違う

もうひとつ、都道府県知事等が行う再生利用指定という仕組みもあります。こちらは「認定」ではなく「指定」で、地域の実情に応じて再生利用を後押しするために使われます。

紛らわしいのですが、実務上は同じ確認のしかたで大丈夫です。「どの制度に基づくものか」を相手に聞いて、その書面の写しをもらう。 名前を正確に言い当てられなくても、書面さえ手元にあれば、社内でも検査のときでも説明できます。

4. 認定業者に出すときの、確認の順番

「許可証がない」と言われたときに、何をどの順で見ればいいか。ここを手順に落とします。

① どの制度に基づく認定かを聞く

「再生利用認定ですか、広域認定ですか、無害化処理認定ですか」まで聞ければ十分です。答えにくそうなら「認定の書面をいただけますか」でも構いません。

② 認定証(認定書)の写しをもらう

許可証の写しと同じ扱いです。契約書に添付するかどうかは相手や自治体の運用で変わりますが、手元に写しがあること自体は、どの場面でも役に立ちます。取り寄せるだけなら、メール1本です。

③ うちの廃棄物が、その認定の範囲に入っているか確かめる

いちばん大事なのはここです。認定証には対象となる廃棄物や製品の範囲が書かれています。うちが出すものが、その中に入っているか。 入っていないものを混ぜてしまうと、認定の枠から外れてしまいます。

許可証の「限定」条件を読むのと同じ感覚です(産廃許可証の見方|事業の範囲と「限定」条件、確認したい3か所)。

④ 収集運搬をする人まで含めて確認する

処理する会社が認定を受けていても、運ぶ人が誰なのかは別の話です。認定の内容によって、運搬まで認定に含まれる場合と、別に収集運搬業の許可を持った業者が入る場合があります。「どこからどこまでが認定の範囲で、運搬は誰がやるのか」を、一度たしかめておくと安心です。

⑤ マニフェストと契約書の扱いを、先方と自治体に確かめる

認定制度を使う場合、マニフェストの交付や委託契約書の扱いが通常と異なることがあります。ここは制度・認定の内容・自治体の運用で変わるところなので、思い込みで決めないのがいちばん安全です。

聞き方は、こんな形で十分です。

「今回、御社の◯◯認定でお願いする分について、マニフェストの交付は必要でしょうか。契約書はどのような形で取り交わすことになりますか。社内で記録に残しておきたいので、教えていただけると助かります」

先方は同じ質問を何度も受けているはずなので、たいてい即答してもらえます。念のため、メールなど文字が残る形でやりとりしておくと、あとで社内に説明するときに楽になります。

⑥ 台帳に、通常の委託先と分けて記録する

認定に基づく処理は、通常の許可業者への委託とは確認する書類が違います。混ぜて管理すると、次に見たときに「この会社、許可証の写しが抜けている」と勘違いします。「認定」の欄をひとつ作って、制度名と認定の範囲、写しの置き場所を書いておくだけで、次の担当者が迷いません(産廃書類の管理台帳の作り方|許可証・契約書・マニフェストを一覧に)。

忘れずにいたいこと

認定制度を使っても、排出事業者としての責任がなくなるわけではありません。適正に処理される相手を選び、確かめて出す。この部分は、許可でも認定でも変わりません(排出事業者責任はどこまで及ぶ?措置命令の範囲と日々の確認)。

逆に言えば、いつもやっている確認をそのまま当てはめればいい、ということでもあります。見る書類が許可証から認定証に変わるだけです。

5. 明日からできる、負担の軽い一手

全部を一度に整えなくて大丈夫です。今日はひとつだけ選んでください。

いちばん上の「思い出してみる」だけなら、この記事を読み終わった勢いで終わります。

現場で使えるチェックリスト

認定業者に処理を頼むとき

社内の管理として

最後に

届いた認定証の写しをファイルに綴じ終え、隣の同僚と穏やかに話している産廃の担当者

産廃の実務でしんどいのは、知らない制度に当たったときだと思います。

「知らない」と言えない空気があって、でも適当に流すわけにもいかなくて、調べようとすると条文と告示に行き着いて、読んでいるうちに何を知りたかったのか分からなくなる。あの、じわじわ時間だけが溶けていく感じは、産廃を担当したことがある人なら覚えがあるのではないでしょうか。

でも、今日の3つの認定に関して言えば、覚えることは意外と少ないです。

許可の代わりになる仕組みがあること。だから許可証がなくても不自然ではないこと。確かめるのは認定証で、見るのは「うちのものが範囲に入っているか」だということ。

これだけ分かっていれば、次に同じ場面に当たったとき、止まらずに次の一歩が踏み出せます。制度の正式名称を暗記していなくても、「認定の書面をいただけますか」の一言が出てくれば、それで実務は前に進みます。

そして、こうして立ち止まって調べたこと自体が、たぶんいちばん価値があります。「よく分からないけど、たぶん大丈夫だろう」で流さなかった。 その判断が、うちの廃棄物を正しい行き先に届けています。

聞いたことのない制度の名前を前にして、それでも確かめようとしている。それだけで、もう丁寧な仕事です。

今日は、取引先の中に認定で処理してもらっている先がないか、思い出してみるところまで。それで十分です。

よければ、こちらも

関連用語